本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

藤栄道彦 「最後のレストラン 2」

最後のレストラン 2 (バンチコミックス)

最後のレストラン 2 (バンチコミックス)

悲観的な青年シェフ・園場 凌(そのば しのぐ)が、父から受け継いだレストラン「ヘブンズドア」には、時々妙なお客がやってくる。
その客とは、死を直後に控えた歴史上の偉人たち。あるときはジャンヌ・ダルクが、織田信長が、マリー・アントワネットが来店し、彼らは一様に困難極まりないリクエストを投げつけてくる。
曰く、「伝説の一皿となるような料理を持って来い」。「今、私が食べたいものを当てて持って来い」。「感涙する一皿を持って来い」。
果たして凌は、どんな一皿で彼らを満足させるのか、させられるのか…?

一話毎に偉人が来店する、連作短編形式の不思議レストラン物語です。
死の間際の物語なので、読後感は少ししんみりするものが多め。
でも、そこは一巻の台詞

よく 明日死ぬとしたら何が食べたい?…とか言いますよね
……でも
食べられるものじゃないんです そうそう死ぬ前になんて
でももし…食べられるとしたら…
何かが少しだけ…その…
……救われる…
そんな感じしませんか?

に集約されてる気がする。無常感をおぼえると同時に、どこか救われたような気持ちにもなるという…。
レストランの登場人物たちが、みな個性派揃いで、雰囲気自体はライトでギャグ寄りなのも、絶妙なバランスです。軽すぎず、重すぎず。

第二巻に登場するのは、ヒトラー、ダリ、関羽など。恥ずかしながら、ビリー・ザ・キッドって知らなかったよ。そしてクレオパトラさん素敵。素敵かわいい。
それぞれの人物背景なども掘り下げているので、歴史漫画としても楽しめる作品です。

もちろん、料理漫画としても面白いです。
シェフの作る料理だから、一般のご家庭では再現不可能なものもあるけど、食材自体が始めて聞くモノだったりすると(例:「山うに豆腐」「まくわうり」…etc.)、それだけで「おおお…(今度どこかで食べてみたい!)」ってなる。

余談ながら、以前感想を書いた
高瀬志帆 「おとりよせ王子飯田好実 1」 - 本条蔵 -ホンジョウゾウ-
よりも、「最後のレストラン」の方を先に読んでいて。件の物産展のチラシを見て、「おっ、これがあの『山うにとうふ』か…」と意気揚々と出かけていった、といういきさつがあったり。