本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

岡本健太郎 「山賊ダイアリー 3」

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

岡山在住の筆者が、罠と空気銃を片手に野山を駆け巡ったり、マンションの一室で燻製を作ってみたり、禁漁区に釣りを楽しんだりする狩猟日記漫画です。

一話~三話程度をかけて、ひとつの猟が語られる感じ。
一話目が鳥撃ちのレポートで、二話目がその鳥の解体&料理、とか。獲物が鹿や猪などの大物だと、もうちょい話数が増えたりする。

時系列がわりとランダムなので、どの巻にも満遍なく、「冬の間の狩猟生活」「夏の間の禁猟生活」「免許取得までの道のり」などが入ってます。
つまり……どの巻を読んでも、「鴨たべたい!たらふく!」とか「魚を釣って丸揚げにしてビール飲みたい!」とか「むしろ私も取っちゃうか!免許!」となります。
とりあえず、今巻に出てきた燻製機一式については、本気で購入を検討してるところ。

「とりにく」ってよく食べてる気がしてたけど、考えてみれば普段食べているのはほぼ鶏で、稀に鴨、あとはせいぜい家鴨と鳩をレストランで食べたことがあるくらいで。
ヒヨドリとかキジとか、どんな味がするんだろう。
そういえば子供の頃、「まんが日本昔話」に出てくるキジ鍋やシシ鍋なんかが、妙に印象的だったなぁ。当時は、お話の舞台設定が「厳しい冬の、貧しい山奥」だったりしたから、あまり「美味しそう!食べたい!」ってテンションではなかったけど、「どんな味がするんだろう…」とは思ってた。憧れてた、と言ってもいいかも。

話を「山賊ダイアリー」に戻します。

猟師同士の連係プレーが必要になる場面も多くて、「こんな仲間がいたら楽しそうだな」とか「先輩マジ頼りになる!」とか、そんなところも楽しいです。経験とか個性とか、こういう職業だと顕著に現れるよなぁ…。

そして、やはり「命」についても考えさせられます。
特に、2巻の、仕掛けた罠に初めて猪がかかったときの一場面は印象的でした。
興奮と混乱の中で転倒し、肋にヒビが入ったことにも全く気付かないほどアドレナリンが出ているにも関わらず、

ついてないイノシシですね こいつ

筆者はここで、家族と散歩したりご飯を食べたりするイノシシの姿を想像する。

こいつだって ぼくに出会わなければ
この先 何年も生きられたハズです
それが こんな初心者猟師の罠にかかってしまうだなんて
なんてマヌケなんだ

逃がしてしまおうか……?
みんなに笑われるかな…?

猟が大好きで、美味しいものを本当に幸せそうに食べてる普段の筆者の姿と、「命」を前に葛藤する筆者の姿が重なって、肉食動物の「業」みたいなものまで考えさせられる、深いシーンでした。

面白くて美味しそうで楽しい作品なんだけど、それだけではない。
味わいのある作品です。