本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

峰倉かずや 「最遊記異聞 1」

最遊記異聞 1巻 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記異聞 1巻 (ZERO-SUMコミックス)

人間と妖怪が共存する世界・桃源郷。
その世界には古くから、強大な力を秘めた書「天地開元経文」が伝えられていた。
全五巻からなるその経文は、「一所に集えばこの世を覆すほどの力が生じる」と言われ、五人の「三蔵法師」  最高位の僧侶が一巻ずつ管理している。すなわち三蔵法師とは、桃源郷における最高権力者と言い換えることも出来る。
そんな「三蔵法師」の継承権を得るべく、今、十一人の僧が本試験に臨もうとしていた…。

最遊記」本編に出てくる「玄奘三蔵」の師匠である「光明三蔵」の、若かりし日の物語です。

本編では、のほほん壮年だった光明さん。今作では、まだ若さ故の「抑えの効かなさ」が散見されます。それでいて、あのジジむささは昔からだったようで。いいキャラであります。
他の僧たちも、素敵個性派揃いです。チビ妖怪とか。努力が報われなそうな真面目優等生とか。万能おじーちゃんとか。

内容は、「『幽☆遊☆白書』、いきなり3巻後半(幻海の後継者選び)から!」みたいな。
精鋭たちのバトルロイヤル…なのだけど、最終試験までは約二年かかるシステムなので、「蹴落とし合う敵同士」というよりは「切磋琢磨し合う戦友」という趣き。

前作(本編第2章)の「最遊記RELOAD」は、あまり話が進まない感じだったのだけど、今作は内容が濃そう。
過去編なので、本編既読の読者にとっては、「決められた結末への物語」ではある。ではあるけど、「彼が光明三蔵になる」という以外は何も分からない状態なので、「本編のおまけ」という感じじゃない。
玄奘三蔵」の前世編である「最遊記外伝」がそうだったように、とても新鮮で、同時に「伏線が回収されていく心地よさ」みたいなものを感じる作品になりそう。

本編一の謎キャラ、「烏哭三蔵法師」との出会いなんかも、そのうち描かれるのかしら。どうかしら。