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本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

イベント 「ふしぎなかばんを携えて」

kaban30_0.html

歌人集団「かばん」の30周年記念イベント。
知り合いの師事している歌人さんがゲスト出演するよ、ということでドキドキしながら出掛けてきました。

長くなるので畳みます。


元々私自身も詩歌が好きで、イベント出演者の著作も数冊拝読してるのですが……それも十年くらい前の話。
最近は、読む方も作る方もご無沙汰だったので、というかそれ以前も「大学の文藝部(サークル)でちょっと嗜んだ」程度だったので、「部外者の素人が潜入しちゃって大丈夫……?」というドキドキもあり……。

ま、まぁ、悩んでいても仕方が無いので、公式サイトにある「どなたでもお申込みいただけます」の一文を信じて参加することに。
確かに、去年の後半くらいから、「そろそろちゃんと勉強したいなー」とか「とりあえずどこか隅っこの方で様子見とかできないかなー」という気持ちがあったので、又とない機会でもあったり。

前置きはこのくらいにして、イベントの進行表はこちら。
プログラム(pdf)

来賓の挨拶……は、創始者まわりの方だったと思う。
「名前が『かばん』だったから良かったのかもねー。漢字二文字の植物とかだったら、こうは長続きしなかったかも?」などのお話をされてました。
たしかに、このイベントが「紫苑30周年」とかだったら、敷居が高そうで参加を断念してた気がする。「かばん」という語の距離感、さりげなく凄いなぁ。

お次、トークショー&相談会。
俳人さん一人&歌人さん二人、計三人が、予め寄せられていた質問に対して、それぞれの立場・スタイルから回答しつつ、色んな話をされていました。
最初のうちは、「きゃー穂村さんだー(←大好き)」「きゃー佐藤さんだー(←大好き)」と浮かれた心を抱えつつ、トーク番組を見るような気分でふんふん楽しく見てたのだけど……徐々に深い内容になってきて、「これ、聞き流しちゃうのは勿体ないのでは……」と、メモをしながら拝聴することに。すごく勉強になりました。
帰りの電車の中で、知人が「これ、最初の方で良かったよね。もし終盤だったら、聞き手の頭が回らなくなってて勿体ないことになってたかも」と言っていたのが、その通り過ぎて、もう。

お次、歌合わせ。
6人の出場者が、事前に、3つのお題に対して2人ずつ短歌を作ってきてる。計6首。
で、会場でくじ引きをして、3人 vs 3人の2チームに分ける。そして、両チームに、短歌を3首ずつ振り分ける。ここまでが下準備。
ここからが真剣勝負。「最初のお題、『ますます』です。両チーム、歌をどうぞ!そして歌のアピールを!」みたいにして、どちらのチームの歌、どちらのチームの評が優れているかを競う。
このルールだと、自分の歌が、相手チームに渡ってるかもしれない。逆に、自分の歌を、自分で褒めなきゃいけないかもしれない。そんなハプニング性たっぷりのイベントでした。
何がハプニングかって、チーム分けの段階で、もう、綺麗に男性チームと女性チームに分かれちゃって。
女性チームは、終始落ち着いていて、チームで戦ってくる。対する男性チームは、やや言葉に詰まりながらも、ひとりひとりが独自の解釈をぶつけてくる。
とても、とても面白いコーナーでした。見てる方は。これ、当事者にはなりたくないよ…!

お次、パフォーマンスタイム。
短歌以外の映像系パフォーマンスだったり、短歌の可能性を模索するものだったり、音楽に合わせた朗読だったり。多彩でした。

例えば、「初音ミクに『下の句カルタ』を朗読させる」。
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「短歌」「下の句カルタ」「テーマが北海道の名産・文化」「初音ミク」という四種混合っぷり。
以前、どこかで「初音ミクに歌を歌わせるのは、ちょっとソフトに慣れればある程度出来るようになるけど、文章を読ませるのはとても難しい」というのを見かけました。
短歌を「読ませる」のは大変だったんだろうな、というのと同時に、短歌って「歌」なんだなぁ、と。改めて再確認したり。
そして、作品群もかなり好きです。特に、「中島みゆき」「ビート」「鮭」が。
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北海道って、両親を含めた親戚一同の故郷なんだけど、私自身は千葉育ちだから、アウェイ感とホーム感を同時に感じる地なんだよなぁ……。

陣崎草子さんの絵本朗読も、独特で印象的でした。
微笑ましくも、不気味で、読後感も上手く言い表せない感じ……。

雪舟えまさんの小説朗読は、とても柔らかな気持ちになりました。
「越と軽」の物語も、温かくてどこか切なくて素敵だったし、そして声。どうしたらあんなに優しい穏やかな声が出せるんだろう。
タラチネ・ドリーム・マイン
ずっと昔に、たぶん「たくさんのふしぎ」の巻末で読んだのだと思うのだけど、「子供を社会全体で共有する物語」をふと思い出しました。「今週はこの家かー」って子供が移動するやつ。後でタイトルを調べてみよう。
あと、今さっきWikipedia
雪舟えま - Wikipedia

穂村弘の歌集 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』のモデルとなる

という一文を見かけて衝撃を受けました。イメージが……全く……。

他に、伴風花さんの、映像にあわせた育児短歌朗読なども。
映像のBGMがこの曲で、
ほしのかずだけ マユミーヌ 歌詞情報 - goo 音楽
(言葉は悪いのだけど)いかにも、な気がしてしまって、やや斜に構えてしまったのだけど、終盤に読まれたこの作品で一気に涙腺が。
これ、引用しちゃって大丈夫かしら。あと、記憶だよりだけど細部あってるかしら。

きみたちは忘れてしまうこの日々をそれでもしゃぼん玉など吹いて

あーもー、子供ってどうしてこんなに愛くるしいんだ。いや、別に「子供」全般が好きなわけじゃないんだ。私の子供が、私にとって可愛すぎるんだ。くそう。
K.O.負けを喫した感があるので、イベント終わりに物販ブースに走って、作品集を購入させて頂きました。正座して読む……読ませて頂きます……。

(のー!
 書いても書いても感想が終わらんのじゃねー!
 もうちょいだから頑張る……。)

更に、千葉聡さんによる、短歌&古今和歌集仮名序の弾き語り。
短歌は「かばん」会員の方々の名作ピックアップ、という感じだったと思う。そして、まさかの仮名序。
「次の詩は……紀貫之さんです」
舞台裾からご本人が登場しそうな近さ。

それにしても、皆さん本当に多才だなぁ。
でも逆に、色々な表現方法を持っている方が、思いつきを無理矢理短歌の形にしなくてもいい(たぶん、俳句向きのアイディアもあれば、小説向きのアイディアもある……)から、そういうことなのかな、とも思ったり。

最後は、「かばん」創刊メンバーにして現発行人である井辻朱美さんによる、短歌朗読。
イベント序盤で、「男性だと思っていた佐藤弓生さんが女性だった」という事実に衝撃を受けたので、「もしかしたら井辻さんは逆に男性だったり……」と疑心暗鬼が生じかけていたのですが、女性でした。
恥ずかしながら、井辻朱美さんの作品は、幼少の頃「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」を読んだきりだったり。もっと色々読んで勉強しなきゃ……勉強したい……。

まとめ、というほどでもないけど、全体的なこと。
内輪ネタもそれなりに散りばめられていたけれど、決して排他的なものではなく、「外側」から見ても温かく感じるような、そんな空気感でした。

ただ、音響や映像操作での事故が多かったのは残念でした。
特に、短編映画でのベッドシーンが、舞台照明が明るすぎてよく見えなかったのは密かに恨んでいますよ?

それにしても、事前にお金を下ろしておいて良かった。色々色々買ったので、今晩から読むぞー!
……でも、感想を書いていたら、会場になかったものも色々欲しくなってきちゃって大変な感じに……。

イベントの後も、関係者の方々から色んなお話を聞かせて頂いて、とても感謝しています。
お酒の力がなければ逃げ帰っていたと思うのですが、お酒の力を借りても翌日謎の筋肉痛を起こす程度に緊張していた模様……。
もっとも筋肉痛は、イベント中ずっと、膝の上のお宝(衝動買い)がズリ落ちないように力んでいたせいかもしれません。己の短足が憎い。