本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

Ciel 「真章 幻夢館」

「中山&木戸探偵事務所」の雇われ探偵・木戸悟は、師匠である班猫(はんみょう)から “女好きであること”が条件であるという奇妙な依頼を任された。
依頼状の指示の通りに 山奥の洋館…中小路家を訪れた木戸。彼はそこで、謹厳実直な老執事・柴田寿三郎や 純真なメイド嬢・渡瀬望、知的かつ妖艶な家庭教師・谷村薫らと接触しながら、依頼の真相を探るのだが…。

前作「幻夢館 ~愛欲と陵辱の淫罪~」を大幅にリメイクした作品、らしいです。

幻夢館 愛欲と凌辱の淫罪

幻夢館 愛欲と凌辱の淫罪

以前、「Fate/stay night」 の情報をゲットすべく購入した雑誌「カラフルピュアガール」(2002.09月号)にて 前作が小さく紹介されていて、それ以来なんとなーく気になっていた作品。絵のタッチがめっさ好みだし。洋館だし。メイドだし。

で、このたびのリニューアル。
ゲーム感想系サイトでも、「前作はイマイチだったけど、今作はリニューアル加減が (・∀・)イイ!! 」と評判だったし、公式サイトのサンプル画像と試聴BGMも素敵だったので、思い切って買ってみましたよ。
今までは、わりと「知ってるブランドの知ってるシリーズものだけ買う」(あとは借りて様子をみる)スタイルだったのだけど、この辺りから何かが吹っ切れた感が。今思えば。(2013年に書き足しています)

現在、未オープンCG2枚を残し、シーンその他はコンプリートしています。たぶんこれでエンディングはすべて見たと思うのだけど…そういう前提で、以下の感想をば。




【シナリオ】

設定や謎、展開などはコテコテな部分も多いのですが、一昔前のゲーム(「野々村病院の人々」や「遺作」など)を懐かしみつつ、素敵テキストに惹かれながら かなり楽しくプレイしました。いやー、面白かった。2周目をクリアするあたりまでは。

…えーと…。何がダメかって、各シナリオの共通部分が多すぎるですよ…。
エンディングは一応5種類以上あるのですが、8割くらいの文章が 全シナリオ共通で。選択肢のチョイスによって、その後の選択肢が多少増減して、それによって終盤が変わって 異なるエンディングになるだけ。これを3周以上繰り返すのはダルイ…。

たぶん原因は、「どのシナリオでも主人公の立ち位置がほぼ一緒だ」というところにあるんだろうなぁ。惚れる相手は同じ。その上で、誰の幸せ(または誰とのエッチ)を優先させるか。それだけ。
これじゃ物語が広がらないし、惚れた相手以外のエンディングに到達すると、かなり唐突な感じがしてしまうし。

あと、語尾にハートマークや汗マークがついているところも ちょっと気になりました。これ、読み進めながら へにょ~んとしてしまう…。
まぁ、プレイヤーの独白に「☆」や「(笑)」までついてた「面会謝絶」に比べれば なんてことないし、気にならない人は気にならないんだろうけど…。うーん。

さらに、例えば○日目にAさんにわざと挑戦的な物言いをして、「すみません、今のは職業柄(相手の反応を伺う)ってやつです。」と説明しているのに、次の日にも同じような言い回しをして情報を引き出そうとする、とか、ゲーム全体で見たときの荒さ、整合性のなさ、みたいなものもかなり感じました。この辺は、修正パッチとか出てほしい…。


【システム】

文章を読んで、たまに現れる選択肢をお好みでチョイスして、選択次第でエンディングに到達する、というオーソドックスな形式です。
既読文章は表示色が変化し、早送りすることができます。VoiceやBGMの有無選択といった基本機能の他、未読文章スキップ、ロードファイルを「ゲーム内の時間」「実時間」「重要度」等でソート出来る機能や ロードファイル名にメモを書き足せる機能など、色々充実しています。

ただ…。前述の通り、主人公の立ち位置の揺らぎの少なさが シナリオの自由度を無くしてしまっているのは致命的な気もします。これ探偵モノなのだし…もっとミスリードとかしようぜ。
あ、探偵モノといえば、現在までの主な入手情報が一覧できる「捜査メモ」という機能もあります。ありますが、タイトル画面からしか「捜査メモ」画面に入れません(プレイ中には見られない)。えーと、探偵モノ…。


【エッチ】

流れに必然性の感じられないエッチが多かった気がします。誰かとのお楽しみ中に なぜか他の人が「混ぜて混ぜて!」ってやってきたり…主人公のことが好きなわけでもエッチ好きなわけでもないのになぜかノリノリな人がいたり…エッチは「依頼」と密接な関係があるのに 主人公はこれといって努力している風でもなく…。
序盤~中盤くらいのエッチは、それなりに良い感じだったりするのだけど…だんだんカオスな感じに…。

加えて、終盤はひとつひとつのエッチがやたらと長いので(他の人が乱入したりするから)、反復プレイ時には「むしろエッチシーンカット機能を!」という気分になりますよ。いや、本気で。


【画像】

いい。凄くいい。繊細で、かつ色っぽく、色調も表情も言うこと無しです!
初回版には画集とサントラCGがついてくるのですが、これだけで半額分くらいの価値はあるかも。


【音楽】

全体的にしっとりした曲が多く、かなり素敵。特にエンディングの「記憶の館 フルバージョン」が大好きです。「黒い羽の妖精」や「Twinkle Star」などもいいなぁ。オープニングの「いつか見たような」をアレンジした曲が若干多すぎる気もするけど、まぁ、それはそれとして。
「記憶の館」は公式サイトにてショートバージョンがダウンロードできるので、ご興味ある方は是非。


【総評】

1度目のプレイは★×4.6個、2回目が★×4個、3回目以降は★×2個くらいでした。
もう一度リニューアルされて、真の意味でのマルチシナリオになったら、これは買いですよ!(現時点ではプレイしてしなくてもいいかも…)


体験版DL
sp-janis.com [Download Service:Ciel]

BGM視聴ページ
sp-janis.com [Download Service:Ciel]


以下、ネタバレを含みます。



ヒロイン級の女性が3~5人程度登場するにも関わらず、主人公が(どのシナリオでも)望さん一直線気味なのがなぁ…。私も好きだけどさー。ゲームとしてさー。

綾乃についても、彼女の内面の葛藤がほとんど描かれてなくて かなり物足りなかったです。せめて、「主人公があやの派か綾乃派か」という隠しパラメータくらいはあってもよかったんじゃないかな。それによって、最終的にふたりは統合されるか、どちらかが「生き残る」のか、それとも共に崩壊してしまうのか、とか。この設定なら 最低でもこのくらいはやってほしい。

あとは、なんだか色々と展開が唐突だったなぁ。クスリで廃人一歩手前まで来てるのに、煙草一本で元に戻っちゃうところとか。あやのと綾乃があっさり共存しちゃうところとか。うーん…。結局綾乃がどうしてあんな風になっちゃったか(実父から調教を受けたか)も、わかったようなわからないような感じだしなぁ…。