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本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

アリスソフト 「Night Demon -夢鬼-」

空に「ツヅキ」と呼ばれる虹状の帯が現れるようになって13年。ツヅキが現れたころから、世界には二つの異変が起きていた。
ひとつめは、特に若年層における自殺の増加。ふたつめは、「夢鬼(ユメガミ)」と呼ばれる生物の出現。
夢鬼は、人間の夢を行き来する能力を持っていること、そして時折原因不明の凶暴化をすることを除いては、外見上も人間と何ら変わらない生物であった。
ツヅキによって姉・二藍(フタアイ)を亡くした青年・朱華(シュカ)は、家を出てバーテンとして働いていた。先代バーテンの幸吉、セフレの日陽子、幼なじみの医者・露崎、そしてバーの常連たちと触れ合いながら 平穏な日々を過ごす朱華だったが、姉の婚約者であった画家・黝簾(ユウレン)と、その先妻の娘・ましろの周辺で、ある異変が…。

「夢鬼」でAmazon検索をかけたら、「鬼乳首マゾGカップ神乳」というDVDがヒットしたのですが、鬼なのか神なのかハッキリして!…虐められる方が神乳で、それを鬼のように責めるんじゃろか…。

閑話休題。感想に入ります。


【システム・操作性】 ★★★★☆☆

マルチエンドノベルです。背景と立ち絵が表示され、その下のウィンドウ内に会話文や地の文が表示されて、ときどき選択肢が現れたり、イベントCGが表示されたり…という。

一日の始めに行動選択肢(「日陽子の家に行く」「幸吉の家に行く」「部屋で過ごす」など)が現れるので それらを好みでチョイスし、向かった先の相手と会話して、それが終わると 夜になってバーでの物語が展開され、やがて次の日になり…を繰り返します。
5日~7日で1章が終わり、4章で終了(シナリオによっては5章まである)。「夏」の章から始まり「春」の章で終わるので、ちょっと「果てしなく青い、この空の下で…。」 を思い出す感じ。
TOPCAT 「果てしなく青い、この空の下で…。」 - 本条蔵 -ホンジョウゾウ-

各章の終わりには「エンディングルート」画面が表示されます。これは、「現在の状態から到達することが出来るエンディングの一覧(フラグが立っているシナリオ一覧)」が表示されるという優れた機能です。
到達エンディング/未到達エンディングは異なる色で表示されるので、たとえば、夏の章が終わった段階で「このまま進んでも新しいエンディングに行けないのか…」と リスタートしたりできるのです。便利ー!

セーブは各フェイズの区切り(朝の始まり、夜の終わり)で行えますが、ロードするには 一度タイトル画面に戻らなければいけません。
不便…かと思いきや、各種エンディング到達ボーナス(本編内にテキストが追加されたり…)を有効にするためには、どのみちリスタートしなければいけないので(クリア前のデータをロードしてもボーナスは付かない)、ロード機能はそんなに使わないかも。

既読メッセージのスキップ(早送り)機能は搭載されているものの、既読/未読判定が 画面下のウィンドウ内の文章にしか有効じゃないのは難点。
このゲーム、追想や夢などに纏わる文章は 画面中央にエフェクト付きで表示されるのですが、「既読スキップ」を選択していると、未読のこれらまでスキップされてしまうのです…。これはかなり辛かったなぁ…。


【シナリオ・エンディング】 ★★★★☆☆

どちらかというと、「シナリオ(物語)を楽しむ」というよりは「朱華という人物の日常、および周辺キャラの人生をしみじみと味わう」という感じかもしれません。
主人公・朱華も、「ツヅキを巡るあれこれの真相に迫っていくヒーロー」ではなく、「そんな時世の中で、流されながら生きていくひとりの人間(成り行きでちょっと真相に触れたりもする)」という感じ。
私は 前述のストーリー概要(太字で書いている部分です)程度の前情報を得てからプレイしたのですが、プレイ前に抱いていた幾つかのイメージ(例:夢に喰い殺されていく退廃的なゲーム、夢で女の子たちを操っていくインモラルなゲーム…etc.)とは大分雰囲気の異なる作品でした。

エンディングは20前後あるのですが、半分以上は「あるエンディングを見た後、追加された選択肢を選ぶと、新規メッセージが数行表示されて、おまけ風(or一発ネタ)のエンディングが見られる(CGはあったりなかったり)」程度のものなので、マルチエンドならではのパラレル感はあまりないかも。「え?これで終わり?」というエンディングも結構多いです。

主人公の立ち位置が 終始あまり変化しないので、どのキャラルートを選択しても「メインルートを進みつつ、同時進行で他キャラとも交流して、ちょっとだけ違った結末に…」という趣きで…ああ、この微妙なもどかしさは「真章 幻夢館」なんかに近いかも。
Ciel 「真章 幻夢館」 - 本条蔵 -ホンジョウゾウ-

とはいえ、特定のエンディングを見るたびに 各キャラの視点のサブシナリオが随所に挿入されていく、というあたりは、幻夢館より二三歩進んでいる感じです。
加えて、「Night Demon」の方は 細かい設定やエピソードなどがかなり作り込まれているので、挿入されたサブシナリオには 「あ!メインルートのアレは、こういうことだったのか!」という発見が色々あったりします。
エンディングやメインストーリーにはやや物足りないものがあったけど、各人のミニエピソードは なかなか読み応えがありました。


【キャラクタ】 ★★★★★☆

主人公・朱華は、「なんでもそこそこ以上にできるけど、すべてにおいてわりとやる気がない」というキャラで…かなり好みです(でもこういうタイプって惚れると辛いよね!)。立ち絵も無意味に色っぽくて非常によい。

その他のキャラクタたちも、とても魅力的な人々が多いです。
関西弁を操るゴスロリ娘・瑠紫琉を筆頭に、セフレの日陽子、恩人の幸吉さん(じーさん)&こしあん(わんこ)…etcetc.
問題は、サブキャラ度と個人的お気に入り度が、激しく反比例気味なところでしょうか。私、正ヒロインがあまり好きではないのですよ。そのせいか、朱華が正ヒロインに惹かれていく過程・理由が かなり物足りなく感じてしまって…うむむ。

あと、朱華と二藍・黝簾・ましろ達の関係は、ちょっと複雑すぎたかなぁ、と思います(例:ましろ=朱華の義理の姉の婚約者の先妻の娘)。まぁ、その微妙な関係の緊張感が、色々な物語を紡ぎ出すわけなのだけれども…。


【エッチ】 ★★★★☆☆

夢魔・淫魔テイストなえろえろ展開…とかはほとんどないので、そういうのは期待しない方が無難です。
とはいえ、割り切った遊び的エッチあり、現実逃避的エッチあり、純愛エッチあり、開発系エッチあり、色々楽しめるのではないでしょうか。
ただ、反復プレイの原動力になるほどには…という感じはします。


【音楽】 ★★★★☆☆

ディスクから抽出して 普段もBGMとして愉しむ…ほどではありませんが、普通にナイス音楽だと思います。
ただ、シリアスなバッドシーンなどで流れる曲(曲名は「悲哀」だったかな?)に、どことなく「道化」をイメージしてしまうため、数シーンで違和感を覚えました。


【CG・イラスト】 ★★★★★☆

アリスソフト外のひと(CARNELIANさん)が原画を担当しています。
ヤミと帽子と本の旅人」のイメージがあったので、もっと ファンタジックな感じなのかと思っていたのだけど、なかなかどうして いい感じに色気がありますな。


【その他】 ★★★★★★

スタッフルームに、見終わったエンディングの解説コーナーがあって、シナリオ担当者による「このエンディングの後、たぶんこのふたりはこうなったんじゃないでしょうか」などのイメージメモのようなものを読むことが出来ます。で、これが ことごとく自分の想像・妄想とぴったりフィットで、…ひとりモニターの前で「私もそう思ってた!」と両手をブンブン振り回してました…。


【総評】

アリスソフトの旧作「夢幻泡影」のパロディ要素も強いので、できるだけ「Night Demon -夢鬼-」の前に そちらをプレイしておくことをおすすめします。

エンディングが20以上あるマルチエンドノベルとはいえ、物足りないエンディングもかなり多いです。
時間・金銭・容量的な問題があったからなのか、それとも 敢えて(演出で、または 主人公の立ち位置の関係で)こういう作りにしているのかはわかりませんが、どうも不完全燃焼という印象が強い…スタッフルームの感じから、「その先が思いつかなかった」とか「ネタ切れ」とかいう問題でないことはわかるのだけど…。
クリア後の満足感で言うと、「夢幻泡影」の方が上かも…うーん…微妙…。