本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

TYPE-MOON 「Fate/stay night」 

Fate/Stay night 初回版
Fate/Stay night 初回版
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TYPE-MOON (2004-01-30)

全ての願いを叶えることが出来るという「聖杯」を巡って、7人の魔術師と 7人のサーヴァント(使い魔)が過酷な殺し合いを繰り広げる「聖杯戦争」。
偶然その争いに巻き込まれた 半人前の魔術師の少年・衛宮士郎は、聖杯戦争による犠牲者を最小限に抑えることを胸に、戦いへと身を投じるのだが…。

CG&エンディング、コンプリートしました。今回も長くなっちゃったから、項目ごとに分けて書くよ。


【システム】  ★★★★★☆

背景、女の子の立ち絵(表情変化付)、その上に表示される文章、ときどき現れる選択肢…という、オーソドックスな形式です。
単純に「選択肢を間違うと即バッドエンド」というものが多いのですが、それプラスαで「好感度ポイント」(選択肢毎に少しずつ加算されていく)による判定もあって、全攻略には少し頭を使うかも。

既読・未読判定有り、既読部分のスキップ機能有り(「早送り」ではなく、「次の未読部分まで一瞬でジャンプする」)、メッセージの読み返し機能有り、随時セーブ&ロード可能、CG・音楽鑑賞モード有り、バッドエンドを含む全エンディング到達度チェック(&おまけ)あり…至れり尽くせり。
短所は「エンディング鑑賞モードがない」ところくらいではないでしょうか。

バッドエンドに到達してしまうと、ヒントコーナーとして「タイガー道場」という寸劇コーナーになります。
このバッドエンド&タイガー道場、実に40通りもあるのです!バッドエンドのバリエーションの豊かさと、タイガー道場のちょっとおちゃらけた感じは、下手をするとゲーム本編よりも魅力的なのではないかというくらい。制作陣、力入れすぎだよ!(画面に向かってガッツポーズしながら)


【キャラクタ】  ★★★★★★

わりと初期に登場するキャラクタを、簡単にご紹介。

衛宮士郎…主人公。魔術の腕前は半人前以下。「正義の味方」を志す。
遠坂凛…士郎の同級生で、ライバル的魔術師(超一流)。小悪魔だが、基本的にいいひと。
柳洞一成…士郎の親友。やや老成したメガネ生徒会長。
間桐慎二…主人公の同級生。ひどく性格が歪んでいる。
間桐桜…士郎の妹的存在。物静かな少女。
藤村大河…士郎の担任で、昔から顔なじみの姉的存在の女性。元気一杯。
イリヤ…魔術師である謎の少女。
セイバー…騎士のサーヴァント。小柄で涼やかな少女。
アーチャー…弓手のサーヴァント。健康的な体躯を持つが、一筋縄ではいかない青年。

個人的に「主人公は一成あたりがよかった…」と思ってしまったほど主人公が微妙にアレなのですが、準主役から脇役まで、魅力的なキャラクタが揃っています。


【文章】 ★★★★★★

TYPE-MOONのテキストは、女の子がとても自然で心地よいです。
多くのエロゲは、どうしても女性キャラの思考・行動・口調などに どこか人工的な感じや「都合の良さ」が現れがちなのですが、そういうのが全然ない。だけどすごく萌える。

遊び心満載の選択肢もあって、全シナリオ・全エンディングはもちろん、全選択肢までコンプリートしたくなってしまいます。(ていうか、ひょっとしたら もうしてるかも)(そうとう念入りに遊んでしまいました)
難点は、「僕は…」の代わりに「衛宮士郎は…」が多用されていて、ちょっと煩わしかったところくらいかな。誤字等もほぼ皆無だったと思います。


【シナリオ】 ★★★★★☆

「選択肢によって特定の女の子のルートに…」というシステムではなく、「1周目は強制的にAさんのシナリオ、2周目以降は選択次第でBさんのシナリオが現れ、3周目は同様にCさんのシナリオになる」という、ヒロイン固定システムです。
シナリオ(ヒロイン)毎に、徐々に色々な謎が明かされる仕組みになっているので、順番を固定せざるを得なかったのだとは思うのですが…これがちょっと曲者で。

ヒロインの個人的な好みが「1周目≒2周目>3周目」だというバイアスもあるのだろうけど、どこかゲームシステムとして不完全燃焼気味な感じがします。
シナリオ間のネタバレのバランスが若干微妙だったり、シナリオ間で敵の強さがかなり変化したり(シナリオAの難敵が、シナリオBではサックリお亡くなりになったりする)、多少ツメが甘かったり…。

この世界観・設定には、もっと適した表現方法があったんじゃないかな。それこそ、「士郎視点と凛視点が選択可能」とか、「2周目以降は他のキャラクタの視点(その他の魔術師、サーヴァント)でプレイできる」とか、そういう方が良かったのかも…。

設定・世界観・人物設定などは、とても奥行きがあって興味深くて、もう流石としか言いようがない。ただ、どのシナリオにも、悪意バンバンな人や こちらを馬鹿にしきっている人などが出てくるので、かなりストレスも感じてしまいました…。


【CG】 ★★★★★★

シンプルでかつ美麗。 至る所に華があるというか、それでいてさりげない萌えがあるというか。
ゲームのCGというのは 割と「コンプリートするまでが楽しくて、達成した後は2,3回眺める程度でおしまい」になりがちなんだけど、このCG鑑賞画面は 何度見ても飽きません。すてき…。


【エッチ】 ★★★★☆☆

全体的に 女の子が喋りすぎだと思います。喋る暇があるなら口を動かエッチシーンに至る流れは自然なのに、エッチシーン自体はちょっと不自然、というシナリオもあって…むん。むしろ、エッチシーンじゃない 幾つかのシーンの方が、さりげなく色っぽくてドキドキしたんだけど。この辺は他のプレイヤーさんの意見を伺ってみたいところ。


以下、かなりネタバレ満載です。既にコンプリートしている方と、このゲームをプレイする可能性がゼロは方以外はご覧にならない方が…。


好きなキャラクタは、セイバー≒凛>イリヤ>ライダー=言峰>キャスター>ランサー>一成>美綴かな。
桜は、一番共感しやすいんだけど…近親憎悪みたいな感じに…。
それにしてもヒロインたちは皆、自らがヒロインをやっているときよりも、他のシナリオ内で準ヒロインや脇役をやっている時の方が、より魅力的だった気がします。何故だ…。

上で「ゲームの(ヒロイン固定の)システムが…」って書いた一番の原因は、イリヤの存在によるところが大きいのだと思います。
イリヤはかなり好きなキャラなのですが、イマイチ性格と役割が定まりきっていなかったというか…もちろん、それがサーヴァント回収システムによるものだということはわかっているのだけど、それならそれで、もうちょっと 「彼女が変わっていく様」を描いて欲しかったのです。
イリヤの正体は、全てではないにしろ 1周目でかなり明かされてしまって、それによって2・3周目が若干ダレてしまうというか…。
結局は「イリヤルートが欲しかった…」という一点に集約できるのかもしれない。

好きなCGは、「Fate」の1-4、2-1、2-3、3-15、「Unlimited」の1-14、1-16、2-5、4-1、4-7、「Heavens」の1-10、2-3、2-4、3-10あたり。
設定書に書いてあった、「本編中で最もえっちなシーンは、教会に囚われたセイバー」という意見には激しく同意なのです!(鼻息も荒く)

好きなエンディングは…「櫻の夢」かな…。
「Fate」編のグッドエンドがないあたりには、漢気を感じます。グッドエンドが欲しくない、と言ったら嘘になるのだけど。でもまぁ、「Unlimited」編のグッドエンドが、「Fate」編のグッドエンドも兼ねているんだろうな。
「Unlimited」編のグッドエンドは、到達するのにかなり苦労しました。どうしてもうまくいかず、最後はタイガー道場のヒントに頼ってしまった…。(この時点で、タイガースタンプの残りも既に5コ程度…)
聖杯を手に入れるエンディングが無かったのは、少し不満です。バッドエンドでいいから、「聖杯が成就した」可能性を描いて欲しかった…。
最後まで残ったバッドエンドは、13(教会でセイバーにザックリ)と31(凛の呪いで桜殺し阻止出来ず)だったかな?

セイバー以外のヒロイン(凛と桜)は、バッドエンド以外では死なないんですよね。
ややっ、死んで欲しくないんだけど、「それは死ぬだろう!」っていう傷を追っても持ちこたえる(または蘇生)、という場面が多めで、ちょっとモヤモヤ…って。

スタッフロールを眺めていたら、ニトロプラスの人達が協力していることを知って、思わずニヤリとしてしまいました。そうか、ニトロプラスか…。(かなり好きなブランドなんです)