本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

TOPCAT 「果てしなく青い、この空の下で…。」 

生徒数の減少により、今年度限りで閉校することが決まった安曇学園。
開発と保全に揺れる田舎の山村を舞台に、学園生活最後の1年間を描いた 伝奇青春ノベル作品です。

私がプレイしたのは2000年版なので、「完全版」とはちょっと違うところもあるかも。
警告:アダルトコンテンツ
凄く好きな作品なので、移植版やリニューアル版が色々と発売になったのがうれしい限り。

しっとりとした音楽と落ち着いたグラフィック、素朴な人柄のキャラクタ達で展開されるゲームです。
癒し系純和風ほのぼの学園物語…かと思いきや、徐々に納涼怪奇ノベルに!(油断した)
 
女の子キャラは、幼なじみでおっとりとした性格の長髪少女・雨音、さばさばとしていて姉御キャラの悠夏、無口で謎の多い文乃、双子の明日菜(眼鏡文学少女)と藍(猫耳付き妹キャラ)、などなど。ポイントを押さえたキャラ設定。

物語は「春・夏・秋・冬」の4章構成で、途中の分岐選択により 各キャラ毎のシナリオに入ります。それぞれが ほぼ全く別のストーリーになっているので、反復攻略へのストレスは ほとんど感じないのではないでしょうか。
…まぁ、とても嫌んな感じの悪役(小者で権力者)が出てくるので、そういう意味でのストレスは溜まるのだけれど。

「Aさんのシナリオをやってみて、初めてのBさんのシナリオに出てきたCさんの台詞の意味がわかる」という感じのリンクが多く、意地でも全員を攻略したくなります。加えて、バッドエンドの後味が悪すぎて、どうしてもハッピーエンドを見ずには終われない…。
謎が謎を呼ぶシナリオですが、最終的に 投げっぱなしになってしまう謎はほぼ皆無なので、コンプリートすると いい感じで達成感が得られます。

システム面では、テキスト表示を「縦書き・横書き」で選択できたり、本当に次の選択肢まですっ飛ぶ「次の選択肢へ」機能が搭載されている(テキストを「早送り」するのではなく、次の選択肢までワープしてくれる)のも嬉しいところ。
一方で 難点は、テキスト量が結構多めなので、うっかり送り対策として「読み戻し機能」(数ページ前に戻る)が欲しかったところ。
あとは、クリアした後のおまけとして 音楽鑑賞モードが欲しかったところ、かな。ボーカル曲の「nikoensis~追想」はかなり好き…。

男の人はね、女の人に
母親であり、妹であり、恋人であり、娼婦であって欲しいのよ…
私なら、なれるわよ

 
以下、ネタバレを含みます。



妹は無理だと思うよ、文乃ちん…。
選択肢を選ぶときに、等身大な選択をしないと バッドエンド一直線、というのが、なかなかリアルで 逆に珍しいな、と思いました。シナリオ(選択肢)の「謎解き」と「恋愛」のバランスが絶妙な感じ。

「吉野=世忍」とか「穂村=炎」とか、そういうダブルミーニングにはシビレました。素敵!

一番ゾクっと来たのは、藍シナリオの蔵シーン(扉を開けたら壁…)。なんかこう、「くる」ものが。
 
印象的だったエンディングは、明日菜のバッドエンド。好きなキャラは、雨音ちゃんと文乃さんでした。