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本条蔵 -ホンジョウゾウ-

本やゲームなどの感想です。まだまだ移行作業中。概ね敬称略です…。

ドラマ 「念力家族」

テレビ

ただいまSeason2を放送中のEテレドラマ「念力家族」。
笹公人の短歌をベースに、念力を持つ家族の悲喜交々を描いた、ほのぼのコメディです。

公式サイト 念力家族 (天てれドラマ)

去年のSeason1の、最初の方はほぼリアルタイムで視聴していたのですが、途中で録画装置が壊れたり、テレビが壊れたり、下の子が「いないいないばあっ!」以外の番組をつけると地団駄を踏む仕様になったりで、なかなか続きを見られず……。
そんなこんなあったものの、先週末やっとまとまった時間がとれたので、5話目くらいから一気に最新話までマラソンしてみたのでありました。

以下、雑感。

  • 「念力家族」のタイトル通り、家族全員が特殊能力者。例えば「父は透視しかできなくて、母は予知しかできなくて……」みたいなのではなく、わりと家族全員が、瞬間移動したり変身したり、やりたい放題する(それぞれに得意な技はある)
  • 超能力ものは、展開として「他の一般人には、自分(たち)が超能力者だとは秘密!(バレてはいけない)(けどバレる)」が王道な気がするけど、このドラマ内世界は、人前で堂々と力を使っても「あいつ変わってる」くらいで済んじゃう平和仕様(この平和さにツッコミを入れながら楽しめる感じ)
  • 個人的に、「バレちゃいけない秘密がバレそう!」な展開だとストレスを感じてしまうので、このドラマのように、目の前で瞬間移動しても「あれ?あいつどこ行った?」で済んでしまう世界観はとてもありがたい
  • 一方で、Season1の序盤は、高校生の玲子が主人公で、「先輩(男)と友だち(女)の三角関係」っぽいアレだったので、「抜け駆けがバレそう」みたいなストレスがあったり……(なかなか続きが見られなかったのは、その辺の個人的な事情もあったのだ)
  • とはいえ、Season1中盤以降は、「画家志望の兄」「優柔不断な父」などひとりひとりが毎話の主人公になるので、色々大丈夫!
  • 10分ドラマなので、展開が早い!その「早さ」と、「念力なんでもアリ」のカオス感とが、とてもマッチして絶妙にシュール
  • 「早さ」のわりに(だからこそ?)、小道具ひとつひとつまで楽しい丁寧な作りだと思う
  • 押しつけがましくないハートフル加減が心地よい。「感動的」というより「ほっこり」というか
  • 毎話のタイトルが笹短歌なので、タイトルコールで短歌自体を楽しんだ後、「この短歌がどんなシーンになるんだろう」と想像するのも楽しい
  • 更に「ニクロム線つないだカップを口にあてしゃべり出す兄『☆‰ΨΩψЙ!』」の回には、「どんなタイトルコール(音読)……?」という楽しみも!
  • 奈々かわいいよ奈々

……以上、感想としてまとまってないけど、素敵ドラマですよ「念力家族」。

大西久美子 「イーハトーブの数式」

活字本

イーハトーブの数式 (新鋭短歌シリーズ)
大西久美子
書肆侃侃房 (2015-03-13)
売り上げランキング: 93,645

タイトルにもあるとおり、著者は岩手出身で、そして宮沢賢治との縁が深い。「新鋭短歌」シリーズの20番目の歌集であり、「新鋭短歌」は基本、第一歌集用のレーベルなので、この歌集も例に漏れず著者の第一歌集ということになる。

歌の表記は旧仮名(「ゐた」「だつたらう」)だけど、かたい感じや遠い感じはしない。むしろ、やわらかくて、スッと入ってくる。
全体的な味わいは……例えるなら、「ひんやりとした壁に寄りかかったときの心地よさ」かな。一番遠いオノマトペは「べたべた」かもしれない。

歌の軸になってるものは、大きく分けて三つ。一つめは故郷である岩手、二つめは父、三つめは理系の研究室(研究所)。もちろん、それらは相互に絡み合っていて、「岩手の父を想う歌」や「父の病室を理系ならではの視点で描写する歌」なども多い。岩手という土地柄、震災詠も幾らかあるし、宮沢賢治を偲んだものもある。

挽歌もあるけれど(私は挽歌が苦手だったりする……)、読んでいて気が滅入る感じはあまりしない。もちろん、痛みや悲しみなどは、とても伝わってくる。でも、死の喪失感をただ感情的に描くのではなく、見立てというワンクッションがあったり、どこか客観的な観察眼で切り出していたりして、だから読み手に鬱々とした重さを与えないのかな、と思う。

見立てという点では、2句目が「のやうに」「のやうな」で終わる歌が多めな歌集でもある。収録された約300首のうち、約20首でその形式がとられている。3句目が「てゐる」または「だらう」で締められる歌もやや多め。
この傾向は特に前半に顕著なので、作歌時期または作歌テーマによるところもあるのかも。

スカートのレエスは氷でできてゐるイーハトーブの冬の車輛は
生きてゐるひとのものなり病室は 清掃のひとの制服が過ぐ
乾きたる種子にいのちがあるなんて(ふしぎ)眠つてゐるだけなんて

実は、著者とは歌会や大会などで幾度も御一緒したことがあって、歌集にはそのときのお歌も収録されていたりする。なにかこう、とても嬉しくて、とても不思議な感じ。
思えば三・四年前(私が「未来短歌会」に入会するよりも半年ほど昔)、当時はまだ「ネットつながりの友人」だった現在の兄弟子K氏が、某大会で大賞に輝いたとき、著者も同じく大賞をとられていて、その授賞式のテレビ放映を「ほわー、そんな世界があるんだなぁ」と一視聴者として眺めていたんだったっけ……。

最後になってしまったけど、大西さん、改めておめでとうございます。
素敵な歌集をありがとうございます!

森見明日 「えーぶいカントク 1」

漫画

えーぶいカントク 1 (ビッグ コミックス)

えーぶいカントク 1 (ビッグ コミックス)

赤木郁乃は、妄想癖のある女子大生。
そんな彼女は、あこがれの従姉妹であるAV制作会社社長・碧に妄想日記を読まれたことがきっかけで、AV監督デビューすることになるのだが……?

「銭」(鈴木みそ)のような、業界裏側系漫画を想像していたのですが……違いました。どちらかというと「快感・フレーズ」(新條まゆ)でした。
ドジっ娘な主人公が、ひたすらエッチな妄想を繰り広げるというテイスト。

撮影現場でも、主人公はトリップしてばかり。キミ、大丈夫かね?
現場の小ネタ、的なものはあまりなくて、「人間関係が微妙だったけど、主人公の天然っぷりが功を奏して、全部なんとかなっちゃいましたー」風味。

作者は、実際にAV女優さんに取材をして描いているそう。
たしかに、映像編集(シーンの切り貼り)のくだりなどは妙に細かかったし、そういった意味では業界裏側系漫画なんだけど。
なにせ、妄想が多い多い。個人的に、天丼系のラブコメ全般が苦手なので、そのノリを楽しめなかったです。妄想と現実の境目も分かりにくいしなぁ。

ただ、主人公が終盤閃く、(ネタバレなので反転)「女性向けの、ヤられてる女性側の思考を音声ではなく文字(テロップ)で表現する」AVというのは、ちょっと目から鱗でした。
実際にそういう商品って、あるのかなー。詳しくないのでわからないけど。
というのも、「漫画や映像より、活字の方が興奮するよねー」という女性は結構多いんすよ。あくまで本条友人調べ(ゲーマーと読書家が多い……)なので、信憑性はアレだけど。
あと、超個人的な好みだけど、基本、女性が喘ぎすぎたり実況しすぎたりすると白けちゃうタイプなので、作中作みたいな方がたぶん楽しめそう。

というわけで、求めていたジャンルの作品ではなかったのだけど、得るものがあったといえばあった一冊でした。
二冊目以降を買うことは、まぁないだろうけれども。

小手川ゆあ・枡野浩一 「ショートソング 2」

漫画 活字本

ショートソング 2 (ジャンプコミックスデラックス)

ショートソング 2 (ジャンプコミックスデラックス)

ショートソング (集英社文庫)

ショートソング (集英社文庫)

あこがれの舞子先輩に連れられて「歌会」に参加することになった青年・国友克夫。彼はそこで、歌人・伊賀寛介と出会い、彼のおもちゃ弟子的な存在として、短歌を学ぶことになった。
短歌結社「ばれん」の頂点に君臨する歌人・五百田(いおた)の姿勢に反発する佐々木瞳、同じく五百田に疑問を抱えつつも 身辺(主に女性関係)がごたついている伊賀寛介、伊賀寛介を想うがゆえに諦観を覚えつつある須之内舞子、心酔する寛介の言動に一喜一憂する国友克夫。
それぞれの恋愛模様と短歌への思いが描かれる、完結編です。

漫画版1巻の感想

漫画版の感想と、原作小説(全1巻)の感想、併せて書いちゃいます。
今回はネタバレが多めです。

まずは、漫画版の感想をざっくりと。

伊賀寛介にとっては、今までのツケが一気に回ってくる巻。
国友克夫にとっては、自身の「童貞性」を受け入れ、敬愛する伊賀寛介を越えて行こうと歩き出す巻。
須之内舞子にとっては、寛介との「つきあい方」を学んで楽になったのが、吉と出たのか凶と出たのか……という巻。
佐々木瞳にとっては……。あれ?瞳さん?

寛介の原点(得られなかったものや弱点)が描かれたことで、普段の彼の「やりたい放題っぷり」にも別の味わいが出てきた感じ。だからといって、全部赦されるわけじゃないんだけどな!
終盤に向けての「踏んだり蹴ったり」も、コメディ調で描かれているので、重すぎず。重すぎないけど、ちょっとドタバタしすぎだし、詰め込んじゃった感じもする。意地の悪い表現をするなら、どこか「打ち切り作品」感みたいなものが。

克夫は中盤以降、「おもちゃ」の座からの脱却を図って。
前向きになったのはいいけど、終盤、ちょっと急成長しすぎかなぁ(特に最後の喫茶店でのシーン)。

舞子は、寛介との「つきあい方」を理解しちゃったのが、哀しいなぁ。
個人的には、オシャレカフェのシーンで、少し動揺して欲しかった気がする。「せっかく折り合いがついてきたのに、どうして今更」的な。……でも、やっぱり違うのかな。もうその段階はとっくに過ぎちゃってて、だからこその結末なんだろうな。
バイトのワンシーンが唐突で、色々引っかかっちゃったので、原作を楽しみにしていたのだけれども(後述)。

トータルで、ラブコメと短歌のバランスがとても心地よかったです。さりげなく、でも絶妙なタイミングで、素敵短歌が出てくる。
たぶんこれ、短歌に興味が全くないひとでも、すんなり面白く読めるんじゃないかな。

ここからは小説版の感想。

寛介のエロさ(というかだらしなさ、というかダメダメさ……?)は、漫画版以上だったー!
あと、克夫の童貞っぽさも漫画版以上。こいつぁ童貞だ。
そんなこんなで、エッチシーンは多めなのですが、文章のノリがライトなので、さくさく読めちゃう。

これは完全に好みの問題なんだけど、チャプター(=視点)が変わる毎に、「知らない女と……」みたいなミニタイトルが挿入されるのが、ちょっと煩わしかったです。煽られてるような、なんというか。

鎌倉編(田尾坂真由香を巡るあれこれ)は、漫画版のアレンジの方が好きだなぁ。ネタバレのタイミングとか、色々。
小説版の方が、いろんなサイドストーリーや小ネタが入っていて、情報量は多いし読み応えはあるのだけど、流れやまとまりがもう一声な印象で。
そう考えると、ラブコメとして、ストーリー漫画としての流れ(シーンの順番)なんかは、漫画のアレンジは全体的に成功していた気がする。最初の歌会での、舞子先輩の離脱のあれこれとかも、漫画版の方がすっきり入ってきたし。
もちろん、小説版のような、「理由がわからなくて悶々……」みたいな描写も、そちらはそちらで面白かったのだけど。
原作は小説として、漫画版は漫画版として、それぞれの良さがあった(各形式の特長が出てた)、ということなのかも。特に「寛介&瞳と、克夫&舞を巡る一夜」などは、小説版も漫画版も、それぞれ違っていて、それぞれに好き。

で、漫画版→小説版という読み方をして、気になったところがふたつ。

ひとつめは、「漫画版オリジナルの、舞子のバイト風景、あれ必要だったのかね?」という。
舞子は舞子で、誰も知らない一面がある、というのはいいんだけど。いいんだけど、「舞子はそういう女でした」みたいな、そういう解決になっちゃってないかなぁ。
敢えての「瞳」も、意味が籠もりすぎる気がする。

ふたつめは、結社「ばれん」の起源、なぜ漫画版では削っちゃったのさー!という。
舞子&更紗&五百田&克夫によって、寛介が徹底的に「バレンタインの復讐!」を受けるというテーマ(オチ?)で纏まってたんと違うのー!?
(後日追記:バレンタインの復讐、つまり「チョコレート革命」なのかー。色々凝ってるなぁ……。)

肉子 「100回お見合いしたヲタ女子の婚活記」

漫画

100回お見合いしたヲタ女子の婚活記 (Next comics)

100回お見合いしたヲタ女子の婚活記 (Next comics)

28歳のヲタク女子が、結婚相談所を経由して婚活に励む姿を描いた、レポート漫画です。

テーマ自体は何気に重いのですが、散りばめられたヲタネタや、適度に客観視されたレポート調の語り口によって、さっくりと読めるのが魅力。

ヲタネタに関しては、作中や欄外に元ネタ解説があるので、元ネタを知らなくても楽しめるんじゃないかな。
私は「BL系や乙女ゲーに食指が動かない女ヲタ」というニッチなアレなので、「この元ネタは知ってるけど、腐女子フィルターがかかると楽しみ方がこう変わるのかー」みたいなのもあって、色んな意味で楽しかったです。蒼天航路とか。

「婚活中、こんな(変な)相手に遭遇した!」という、変な生き物図鑑としても面白いし。
様々な「結婚相談所」や「婚活パーティー」の仕組みがざっくりわかる、という業界レポートとしても興味深い。

そして、「婚活」を経て、著者の意識が徐々に変わっていくところは、色々と考えさせられました。
「相手を見つける」には「自分は何なのか/どうありたいか」を見つめ直す必要があるわけで……。

紆余曲折を経たラストにはグッと来ました。正直、ちょっと涙目に。

pixivにも掲載されているので、そちらで全部読んでしまうのもテだし、読破後にお布施風味に購入するのもテだし、最初の方だけチラッと見てみて面白そうだったら買うのもテだし。
100回お見合いしたヲタ女の漫画婚活記 #1
後日談などもあるので、本書を読み終えた方も、見に行くと良いことが。

上記リンクにもいきなり登場する、担当アドバイザーのアヤメさんが格好良すぎます。結婚してくれ!(既婚者です)(女性です)

小手川ゆあ 「ショートソング 1」

漫画

ショートソング 1 (ジャンプコミックスデラックス)

ショートソング 1 (ジャンプコミックスデラックス)

あこがれの舞子先輩に連れられて、半ば無理矢理「歌会」に参加することになった青年・国友克夫(くにとも かつお)。
その会場で克夫は、舞子先輩の彼氏である歌人・伊賀寛介(いが かんすけ)と知り合う。
克夫の才能をいち早く見抜いた寛介は、イノセントな克夫に対して仄かな嫉妬を抱きつつも、克夫をイジりつつ指導することで、己の行き詰まり感と折り合いをつけようとしていた……。

原作は、大好きな歌人であり、コラムニストや芸人としても活動中の枡野浩一さん。
作画は、こちらも大好きな漫画家である小手川ゆあさん。

最近、ツイッターでこんな呟きを見かけて(登場人物の名前の元ネタ一覧)
須之内舞子→……
「これは未読本棚に積んでる場合ではないぞ」と慌てて発掘してきた次第です。

女好きで自己中な寛介。寛介を想う舞子。そんな舞子に想いを寄せる克夫。
そして、寛介たちの短歌仲間である大人びた女性・佐々木瞳(ささき ひとみ)らの交流を描いた、短歌と恋情が交錯するストーリーです。
登場人物が抱える、それぞれの「短歌」への想い、そして友情や恋情が面白い作品。

……なのだけど、初読時は「名前のアナグラムすげー!」とか「性別反転しててたのしー!」とか、メタな楽しみ方をしてしまいました。
ストーリーを落ち着いて純粋に楽しめたのは、むしろ二回目以降だったり。

克夫とダブル主人公であるところの寛介が、それなりの地位と実力を持ちつつ、それゆえに葛藤しつつ、そしてどうしようもなく女性にだらしなくて、ダメ男だけど魅力的です。
そして克夫イジリが鬼で楽しい。陰湿に虐めるんじゃなくて、タチの悪いちょっかいのような感じで。そして、最終的にはそれらが寛介自身に返ってきたりするところも何とも言えず。

要所要所で短歌が挿入されるのも面白いです。
特に枡野さんと柳澤さんの歌は、知っている作品が多かったので、「このシーンでこれかー!」という、ある種の「してやられた感」も楽しくて。
知らない歌人さんの作品群も素敵なものばかりで、また欲しい歌集が増えてしまった(でも今ちょう金欠!)という、嬉しい悲鳴が。

舞台が吉祥寺なのも嬉しいところ。
「わ、ここのカレー食べたことあるよ!」とか、「このサーティーワン、昨日通り過ぎた!」とか。色々交錯するものが。

もっと短歌界に詳しいひとなら、フィクションの裏に見え隠れする様々なノンフィクションに戦慄したりするのかもしれない。
たとえばこう、派閥とか……恋愛模様とか……。
そこまで知らなくて良かった。本当に良かった。うん。

作中には柳澤真実さんの作品も多く引用されてるけど……そういえば、「君と小指でフォークダンスを(仮題)」(柳澤真実)の出版って、どうなったんだろう。
今は無きの新風舎「TILL」(文芸投稿雑誌)にも、単行本制作日記とかが載ってて、凄く楽しみしてたんだけどな。

何はともあれ、「ショートソング」の2巻を買おう。早急に。

押切蓮介 「ミスミソウ 完全版 上・下」

漫画

ミスミソウ 完全版(上) (アクションコミックス)

ミスミソウ 完全版(上) (アクションコミックス)


ミスミソウ 完全版(下) (アクションコミックス)

ミスミソウ 完全版(下) (アクションコミックス)

大津馬中学校は、今年度いっぱいで廃校となることが決まった。
そんな過疎地の中学校に、東京から転校してきた少女・春花。「よそモノ」である彼女は、クラスメイトたちから激しい虐めを受けながらも、家族を心配させたくない一心で、日々を静かに耐えていた。
しかし、そんな彼女の覚悟を嘲笑うかのように、火事で両親が亡くなり、妹も瀕死の火傷を負ってしまう……。

スプラッタサイコホラー……かな。
女の子に酷いことした子たちが、次々に酷い目に遭わされる話。ってまとめちゃうと身も蓋もないですが。
「誰が春花の家に火をつけたのか」「虐めのきっかけは何だったのか」などの、ミステリ要素も含まれた復讐劇です。

虐めの加害者たちが襲われていく、というと勧善懲悪のようだけど、そういった痛快さは残念ながらナッシングです。
かといって、惨劇を止めたい気持ちも働かない。死ぬべき人たちが、当然のように死んでいくのを見てる感じ。
もっとも、惨劇の被害者の中には「傍観者」的ポジションの人もいるのだけど……まぁ、同罪と言えば同罪ではあるし……なんとも。

そして、行き過ぎた悲劇は喜劇と紙一重である、というか何というか。
読んでいると、だんだん、滑稽に思えてくる瞬間があってこわいです。内蔵とかが。

ある意味バトル&アクションであはるけど、カタルシスは得られないので、そういうのを求めちゃダメだと思う。
私自身、口直し(?)に高橋慶太郎を読み直したクチだったり。

絵柄に関しては、表紙のイメージで本編を読み始めると、それなりに違和感を覚えます。
他の作品の表紙の方が、実物に近いというか、何というか。どちらも実物なんですけど。
http://www.amazon.co.jp/%E6%8A%BC%E5%88%87-%E8%93%AE%E4%BB%8B/e/B003UWSNPE/ref=ntt_athr_dp_pel_1